2012年5月31日木曜日

ピアノの名曲を聴こう

ピアノの名曲を聴こう

シューマン/リスト
献呈
華麗に編曲された愛の贈りもの

シューマンが結婚式の前日、妻となるクララに贈ったのが
26曲からなる歌曲集<ミルテの花>。
「品よくデザインされた装飾をほどこして、装丁してください」
という出版者へ書き送ったシューマンの手紙も残されており、
愛の贈りものへの思い入れの深さが感じられる。
曲集はシューマンの「歌曲の年」とされる
1840年の1月から4月にかけて作曲された。


リュッケルトの詩による<献呈>はそのなかの第1曲にあたり、
「君はわが心、わが魂」
という愛の宣言が高らかに歌い上げられる。
リスト編曲によるピアノ独奏版は、
キラキラと光り輝くような衣装をまとい、
いちだんと装飾性を増しながら、華麗な力強さを感じさせる。
抑えきれない心のたかぶりを描写するかのような前奏にはじまり、
手探りで愛を確認するようにじっくりと歌曲のメロディが歌われていく。
穏やかな中間の部分を経て、最初のメロディが確信とともに響きわたる。