2012年5月31日木曜日

ピアニストとは?2

機械を使いこなす腕が必要
ピアノという楽器は、ある意味で人間から
いちばん遠いところにある機械です。
たとえば歌手なら、自分の身体を使って歌うし、
ヴァイオリンでもフルートでも
身体にとても近いところで演奏します。
しかし、ピアニストは、ひとりでは容易に動かせないような
重くて大きな楽器を相手にして演奏します。
しかも、そのピアノは、ネコが鍵盤の上に乗っても音が出るような、
完成されたメカニズム
(鍵盤からハンマーまでの一体化された部分)をもっています。
そのような楽器で音楽をするということは、
ほかの楽器とは違った難しさがあると思います。


ピアニストは“肉体労働者”
人はそれぞれ体格が違い、手の大きさも違います。
ですから、ピアニストはそれぞれの身体に合わせて、
自分なりの弾き方を見つけていかなければなりません。
演奏会でご覧になるとわかるように手の形、椅子の高さなどは、
十人十色で、弾き方もさまざまです(たとえば、ホロヴィッツは
指を伸ばして弾く、グレン・グールドは極端に椅子が低い、などなど)。
その意味でも、ピアニストは常に大きな楽器を相手にして、
それをなんとか駆使しようと努力する一種の肉体労働者でもあるのです。