2012年5月30日水曜日

19世紀のピアノの改良2

19世紀のピアノの改良

ブロードウッド社のピアノ
イギリスでグランド・ピアノの開発を推し進めたのが、
ブロードウッド社(創始者:ジョン・ブロードウッド)である。
1781年頃よりグランド・ピアノの生産を始めると、
演奏家(クレメンティほか)や音響学者の意見も採り入れながら、
音域の拡大、音量の増大を目指した。
A.バッカースが開発した「イギリス式アクション」と呼ばれる
「突き上げ式」アクションを改良し、よりパワフルなピアノを生産。
1820年頃には、グランド・ピアノに初めて鉄製の枠組みを採り入れる。
ベートーヴェンは、1817年製のブロードウッドの
ピアノを製造元から寄贈されている。


エラール社のピアノ
音量の大きさという点でベートーヴェンを大いに満足させたのが、
フランスのエラール社のピアノである
(創業1780年、エラール兄弟:セバスティアン、ジャン=バティスト)。
1803年、ベートーヴェンに贈られたエラール社のピアノは、
音域が5度増えた上、弦の数もそれまでのウィーン式の2本に
対し3本に強化され、低音や和音がこれまでになく豊かに響いた。
さらにベートーヴェンにとって、
これは、足ペダルを備えた最初のピアノだった。
当時彼が作曲したピアノ・ソナタ、たとえば<ヴァルトシュタイン>には、
このエラールの改良を積極的に音楽表現に採り入れた跡がみてとれる。