2012年6月3日日曜日

ドビュッシー 亜麻色の髪の乙女


ドビュッシーとピアノ曲
亜麻色の髪の乙女
ひとつひとつのおしゃれな和音を味わいたい一曲

<前奏曲集>全2巻24曲は、ドビュッシーのピアノ作品中の
頂点にある作品と言っても過言ではないであろう。
もともとショパンの<前奏曲集>op.28(全24曲)を
強く意識して書かれた曲集であるが、
自由闊達な音楽の運びと、凝りに凝った作曲技法の駆使によって、
まさに近代のピアノ音楽を代表する名作として認められるに至った。


すべての曲の終わりの部分に表題と
おぼしき言葉が記されているのも特徴で、
<野を渡る風><雪の上の足跡><月の光の降り注ぐテラス>
といった調子の詩的なタイトルは、
聴き手の想像力に訴えてくるものばかりである。
<亜麻色の髪の乙女>は、この<前奏曲集>第1巻の第8曲にあたり、
曲集のなかでは、おそらくもっとも有名な作品である。
19世紀フランスの詩人ルコント・ド・リールの同名の詩から
インスピレーションを得て書かれた曲で、夏の朝、
スコットランドの草原にたたずむ乙女の姿を
描いた透明感あふれる曲である。