2012年6月3日日曜日

ラヴェル 水の戯れ


ラヴェルとピアノ曲
水の戯れ
水の動きを生き生きと描写した絵画的な名曲

若きラヴェルの出世作となった作品で、
絵画的な描写力に優れ、流れ落ち、
飛び跳ねる水の諸相を生き生きと表現している。
同時代のライヴァルと目されていた17歳年長の
ドビュッシーにも相当の影響を与えたとされる革新的な傑作である。
この曲は師であったガブリエル・フォーレに捧げられている。


コンセルヴァトワールで教鞭を執っていたフォーレは、
当時在学していたラヴェルとは師弟関係にあり、
ラヴェルの音楽に大きな影響を与えた。
慎ましい性格の人物であったと伝えられるフォーレは、
ラヴェルが音楽院から正当な評価を与えられず、
「ローマ賞」という権威ある賞を受賞できなかったという事件が
社会問題化した際、「あの穏やかなフォーレ先生が……」と
周囲を驚かせるほどの猛抗議を音楽院のお歴々にぶつけたという。
ラヴェルは、長じてフランスを代表する作曲家となったあとも、
若き日に師から受けた恩義を終生忘れることなく、
後年、フォーレの名の綴りを音名に見立てた作品なども残している。