2012年6月2日土曜日

ショパン 雨だれ


ショパンとピアノ曲
雨だれ
清らかなメロディが印象的なピアノの名品

1838年秋、ショパンはサンドとともに
地中海に浮かぶマヨルカ島へ渡る。
パリでのゴシップを避けるためと病弱な
ショパンの療養を兼ねた旅だった。
滞在中、古い修道院で暮らしていたが、
<24の全奏曲>はここで完成された。
尊敬するJ.S.バッハの<平均律クラヴィーア曲集>
にならない24のすべての調をもちいて全曲が構成され、
配列も考え抜かれている。
曲の長さも雰囲気もさまざまなのに不思議な調和があり、
24曲全体でひとつの作品として見事なまとまりがある。


この<雨だれ>は第15番にあたり、
単独でも取り上げられる有名な作品。
ほかの曲は30秒から3分ほどの長さのところ、
<雨だれ>だけは5~6分かかり、
全曲中でもポイントとなる。
ある嵐の夜、夜半過ぎにサンドが修道院に戻るとそこでは
ショパンがひとりピアノを弾き続けていた。
その曲が<雨だれ>だったという
真偽は定かでないエピソードがある。
歌心にあふれた清らかなメロディにはじまり、
重苦しい中間部を経て、最初のメロディが戻る。