2012年6月3日日曜日

ラヴェルとピアノ曲


ラヴェルとピアノ曲

ピアノを使って多彩な音楽を作り出す魔術師

モーリス・ラヴェルは、パリ・コンセルヴァトワール在学中から、
斬新で個性的な作品を発表し、物議を醸しつつも、
早くからその存在を認められていた。
特にピアノ作品は、親友のピアニスト、
リカルド・ビニェスが積極的に彼の作品を
初演したこともあって、当時のパリ楽壇をおおいににぎわした。
自身の管弦楽作品のピアノ編曲(あるいはその逆)も多く、
全作品に占めるピアノの位置は大きい。
ラヴェルの作品個々には、彼の生い立ちや嗜好が
反映したような性格が見られる。


例をいくつか挙げるなら、
彼の母がスペイン系であったことに影響された
スペイン趣味(<道化師の朝の歌>)、技師であった父に影響され、
メカニカルなものへの興味から発した古典への回帰
(<ソナチナ><クープランの墓>)、怪奇趣味(<夜のガスパール>)、
戦争の影響(<クープランの墓>)、ジャズの影響(ピアノ協奏曲)などなど。
こうしたいろいろな曲に接していくにつれ、
ラヴェルがじつに多面的な人間であったことがうかがえる。