2012年6月2日土曜日

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ長調


ベートーヴェンとピアノ曲

ピアノ・ソナタ第8番ハ長調op.13<悲愴>
ベートーヴェンの悲愴感が込められたドラマティックな名曲

ベートーヴェンが故郷のボンから大都会ウィーンに
出てきて間もない頃の作品で、彼のピアノ作品としても
比較的初期のものであるが、鍵盤の上から下までフルに
使った旋律の大胆な動きや、突然の音量変化など、
ベートーヴェン特有の振幅の大きな表現がすでに確立している。


ベートーヴェンがみずから表題を付けた
ピアノ・ソナタはたった2曲しかなく、
この<悲愴>がそのひとつであるが、
曲の内容を非常に簡潔なかたちで聴き手に示唆している。
曲は、速い-ゆっくり-速いの3つの楽章からなる。
第1楽章はソナタ形式だが、荘重で訴えかけるような序奏が
付けられているのが大きな特徴。
序奏後に現れる旋律は、急速に迫り来る悲愴感を描写していて、
不安をかき立てる。
感傷と優しさに満ちた第2楽章を経て、
第3楽章では動きのある調べが京切な雰囲気をかもし出し、
激しくなだれ落ちるように曲を閉じる。