2012年6月1日金曜日

ピアノの名曲を聴こう トロイメライ

ピアノの名曲を聴こう
シューマン
トロイメライ
比類ない繊細さと美しさをたたえた名曲

わずか2分半ほどのあいだに、ノスタルジックな思い出が
つぎつぎと浮かびくる不思議な豊かさをもった小品。
1838年、シューマン27歳の春に作曲され、
翌年出版された小品集<子供の情景>の第7曲にあたる。
タイトルの<トロイメライ>はドイツ語で夢を見ること、
夢想することを意味している。


シューマンのピアノ曲のなかでももっともよく知られた作品で
単独でもひんぱんに取り上げられている。
穏やかで優しい夢をみるようなゆったりした
メロディが少しずつ変化をみせながら
8回繰り返されていくという単純な構成ながら、
そのなかにはちょっと触れただけこわれてしまいそうな
繊細さが秘められ、その美しさは比類がない。
技術的には子供でも弾けるくらいに書かれているが、
シンプルなだけに解釈面の難しさがあるだろう。
シューマン自身、これは子供のための作品ではなく、
年をとった人の回想で、大人のためのものなのです、と言っている。