2012年6月2日土曜日

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調


ベートーヴェンとピアノ曲

ピアノ協奏曲第5番変ホ長調op.73<皇帝>
華麗で気高く、自身に満ちた傑作ピアノ協奏曲

ベートーヴェンが書いたピアノ協奏曲(第1番~第5番)は、
どれも演奏される機会が多いが、そのなかでももっとも
親しまれている作品であるといえよう。
最大の魅力は、なんといってもその華麗で勇壮な曲調にある。
颯爽たる推進力を感じさせる音楽は、
まさにベートーヴェンの真骨頂、
傑作<英雄>交響曲をも連想させる格好良さである。
<皇帝>という愛称は、こうした雄々しい曲調が
「皇帝」的な堂々として気高い雰囲気をもっていることから
付けられたという解釈が一般的である。


全オーケストラが鳴らすひとつの和音にのって、
ピアノ独奏が華やかに駆け上がり駆け降りるという
たいへん印象的な冒頭にはじまる第1楽章、夢見るような弦楽器の
旋律に導かれてピアノが祈りを込めるような美しいメロディを歌う第2楽章、
その静寂を破るように激しいピアノ・ソロからはじまり、
オーケストラの質実でたくましい音楽を導き出す第3楽章と、
いずれの楽章も独奏とオーケストラが一体となった、完成度高い傑作である。